こんにちは、チョトラです!
「オンライン資格確認って何?」
「オンライン資格確認が始まると、具体的にどんなメリットがあるの…?」
と悩んでませんか?
そんな方に向けて「オンライン資格確認の概要やメリット、現状の課題や今後」がわかる記事を用意しました!
この記事は以下の人におすすめ!
- オンライン資格確認のポイントについて知りたい人
- オンライン資格が導入されることで、医療現場の負担がどう変わるのか知りたい人
- 病院経営にとって、オンライン資格がどう影響するかが知りたい人
この記事を読めば、 オンライン資格確認によってもたらされるデータヘルスの未来が理解できるはずです!
オンライン資格確認で、これまで分断されていた医療情報の利活用が進み、攻めのDXに向けて大きく前進します。
ぜひこの記事を読んで、日々の業務に活用していただければ幸いです。
それでは、どうぞ!
オンライン資格確認とは、文字通り「オンラインで資格を確認する」ことです。
何の資格?と思われるかもしれませんが、これは「患者さんの医療保険の資格」です。
まずはじめに、医療保険などの前提知識や、オンライン資格確認の全体像についてご紹介します。
日本では国民皆保険制度をとっており、国民は必ずどれか一つの公的医療保険に入ります。
そして以下の画像のように、私たちは保険者に社会保険料を納めます。
かわりに、保険者は私たちへ健康保険証を発行しています。
この保険証を病院の窓口へ提示することで、患者さんの医療費負担が減るわけです。
詳しくは、以下の記事をお読みください。
患者さんが病院の窓口で保険証を出して、受付担当者が医療保険の資格を確認する。
この一連のプロセスの中に、どんな問題があって、オンライン化することになったのでしょうか?
厚生労働省の健康保険情報推進専門官である、柏尾 康寿氏の発言を抜粋します。
2つあります。
厚労省に聞いた「オンライン資格確認」導入の背景・狙いとは?
1つ目は、健康保険証の資格確認を確実に行いたかった、ということです。具体的には、なりすまし、資格過誤を防ぎたいという背景があります。 また、オンライン資格確認では、最新の資格情報を取得することが可能となります。 例えば、転職した際に新たな健康保険証が発行され、被保険者の手元に届くまでには時間がかかります。転職後の新たな情報を申請していただいている間のラグは引き続き残りますが、新たな保険証を発行し届くまでの間に医療機関がデータを取得できないというラグは解消することができます。
2つ目は、レセプト情報を基にした医療情報を利活用することです。 オンライン資格確認システムを通して、患者の同意を得られれば、医療機関で「特定健診等情報」「薬剤情報」を閲覧できるようになります。オンライン資格確認は、まさにデータヘルス改革の基盤となっているのです。
資格確認がオンライン化することで「情報の確認と共有」がリアルタイムで行われるようになる。
そうなると「情報が分断されて生じていた、事務手続きの負と医療情報の負」を解消できる…!
それが、真の狙いだったんですね。
それではここから、実際のオンライン資格確認の流れを見ていきましょう。
具体的には、以下の通りになります。
患者さんが窓口で、マイナンバーカードをカードリーダーに置きます。
本人確認方法を選択します。
顔認証、もしくは4桁の暗証番号で、本人確認を行います。
診療・薬剤・特定健診情報等の閲覧の同意を選択します。
資格確認が終了します。
マイナンバーカードから、個人情報を読み取るわけではないよ!
ICチップの電子証明書(利用者本人であることを証明するもの)を読み取るから、安心なんだ。
マイナンバーカードが保険証として使えるようになっても、診療・薬剤情報・健診結果、
税金情報などはICチップに記録されず、安心ですね!
オンライン資格確認の全体の流れは、以下のようになります。
- 資格情報の登録
私たちは転職をすると保険証が変わり、医療保険の資格情報も変更されます。
こうした加入者の情報が更新されるたびに、保険者は加入者情報を中間サーバー等に登録。
そして、中間サーバー等からオンライン資格確認等システムに、資格情報が連携されます。 - 資格情報の照会
医療機関は、保険者が登録した資格情報を照会します。
マイナンバーカードによる資格確認では、ICチップの電子証明書を利用します。 - レセプトから診療・薬剤情報の抽出
医療機関から提出されるレセプトから、診療・薬剤情報が抽出され、システムに保存されます。 - 特定健診情報等の登録
保険者は、被保険者番号を含む特定健診情報等を登録します。 - 診療・薬剤・特定健診情報等の閲覧
医師等は、患者が受付時に同意した場合、電子カルテや調剤システムなどから、診療・薬剤・特定健診情報を閲覧できます。
つづいて、オンライン資格確認のメリットについてみていきましょう。
オンライン資格確認のメリットは、大きく3つの視点でとらえることができます。
患者さんにとってのオンライン資格確認のメリットは、次のようになります。
これまでは医療機関等の窓口で、患者さんから健康保険証と診察券の両方を提示してもらい、資格確認等を行っていました。
しかし、オンライン資格確認を導入すれば、マイナンバーカードのみで診察券としても利用できます。
本人確認がスムーズになることで受付が円滑化し、待ち時間の減少につながることでしょう。
複数の医療機関にかかる患者さんは多いのですが、診療内容や投薬内容を正確に覚えていないこともあります。
こうした時に、いつでも自分の医療情報を閲覧できることで、生活習慣の改善に結びつくと期待されています。
また、マイナポータルから医療費の通知情報を閲覧できるため、医療費の領収書の管理が不要になるメリットもあります。
これまで患者さんは、医療機関・薬局の窓口での支払いが高額な負担となった場合、患者は加入している保険者へ限度額適用認定等の申請を行っておりました。
そこで発行された各証を、医療機関・薬局の窓口へ提示する必要があったのです。
しかしこれからは、患者さんから保険者への申請がなくても、オンライン資格等確認システムから限度額情報を取得できるようになり、限度額以上の医療費を一時的に窓口で支払う必要がなくなります。
医療者にとってのオンライン資格確認のメリットは、次のようになります。
- 本人同意の元、診療・薬剤・特定健診等情報を閲覧できる
- 災害時には特別措置として、マイナンバーカードによる本人確認ができなくても、医療情報を閲覧できる
これら2つは、医療者にとってかなり大きいメリットではないでしょうか?
通常時は、患者さん本人が同意した場合だけ、薬剤情報・特定健診等情報を閲覧でき、データに基づくより良い医療を提供できます。
医療者がみることができる実際の診療・薬剤・特定健診情報は、以下のようになります。
一方で災害時においては、以下の状況が起こりうります。
「薬を家に置いて避難してきた…」
「避難所で持ってきた薬を飲みきってしまった…」
「かかりつけ医以外のところで受診することに…」
そこで災害時は特例措置として、本人確認不要で情報の閲覧ができ、私たちは安心してより良い医療を提供できます。
病院経営者にとってのオンライン資格確認のメリットは、次のようになります。
病院経営者にとってのメリットとして、医療事務の業務効率化によるコストカットがあります。
今まで受付で保険証を受け取った後、いちいち毎回、保険証記号番号・氏名・生年月日・住所等を医療機関システムに手入力する必要がありました。
大変面倒で時間がかかるだけでなく、もし内容が間違えていると、資格過誤となってレセプトは返戻されてしまうことに…
この間違いを防ぐためにレセプトの点検業務をしますが、この作業は犯人探しのような状況を作りがちであり、医療事務のモチベーションを下げる原因にもなっておりました。
しかし、オンライン資格確認を導入すれば、マイナンバーカードでは最新の保険資格を自動的に医療機関システムで取り込むことができます。
保険証でも最小限の入力は必要ですが、有効であれば同様に資格情報を取り込むことができます。
病院経営者にとっての2つ目のメリットとして、確実に収入源を確保できるというものがあります。
もし、患者さんの保険証が変更になっているのに気づかずにレセプトを請求した場合、レセプトは資格過誤となって返戻されます。
次にレセプトの再請求をする際は、新しい保険証の情報が必要になるので、患者さんの確認が必要に。
定期通院の患者さんならまだしも、なかなか来ない患者さんの場合、メールや電話などで連絡する必要があります。
もし連絡がつかなかった場合、レセプトの再申請を断念せざるを得ず、医療費は未収となってしまうのです…
しかしオンライン資格確認により、レセプトの返戻を回避でき、患者さんへの確認事務が減少して未収金の減少につながるのです。
もともと2022年4月から施行された「電子的保健医療情報活用加算」というものがありました。
しかし「マイナンバーカードを利用して受診した場合に点数・患者負担が大きくなり、マイナンバーカードの保険証利用を阻害している」との指摘を受け、この加算は10月に廃止となりました。
かわりに、同年10月から、医療情報・システム基盤整備体制充実加算が新設されました。
厚生労働省によると、この加算は「初診時に患者の薬剤情報や特定健診情報等の診療情報を活用して質の高い診療を実施する体制を評価するもの」と説明があります。
具体的な内容は、以下になります。
執筆時である2022年12月の現在、以下の課題があります。
マイナンバーカードの普及率は、厚生労働省の資料によると、2022年10月23日で人口の50.5%(6354万枚)、総務省の2022年11月の資料で、53.9%という状況です。
以下のグラフから分かる通り、近年右肩上がりに急上昇していることがわかります。
政府は2024年秋に、紙やプラスチックの保険証を廃止する方針を発表しました。
マイナンバーカードを保険証として利用する「マイナ保険証」への一本化を狙う動きですが、「マイナンバーカードを持ちたくない。」「施設に入っていて、取得できない」などの混乱の声も上がっています。
政府は、マイナンバーカードを持たない人にも公的医療保険の診療を利用できるよう、代替策を検討するとのこと。
しかし、まだ具体的な内容は決まっておらず、今後も丁寧な議論が必要です。
カードリーダーの申込施設数は総施設数の84%ですが、運用を開始した施設数は総施設数のわずか32%です。
2022年8月10日、中医協にて「2023年4月から、オンライン資格確認の原則義務化」が答申・公表されました。
それに伴い、カードリーダーの運用開始・申込施設の割合は、急激な増加l傾向を示しております。
また、マイナンバーカードの保険証利用を登録した数は、10月23日時点で2776万件で、保険加入者のわずか22%です。
医療機関でのオンライン資格導入への対応を進めるとともに、国民への啓発も大きな課題となっています。
現状では、訪問診療・訪問看護、マッサージや鍼灸・柔道整復師の施術などに、オンライン資格確認は対応できてません。
以下のように医療者がモバイル端末を用いて、患者宅等でオンライン資格確認をするシステムを検討中です。
今後、オンライン資格確認はデータヘルスの基盤となり、様々な機能が拡大さます。
2023年5月頃をめどに、手術情報がオンライン資格確認によって共有されます。
もともと、病院や薬局への手術情報の共有は、以下のような懸念がありました。
「手術情報は病名に直結する可能性が高く、機密性が一段と高い情報」
「万が一意図市内第三者に漏洩すれば、当該患者に大きな影響が出る」
その結果、患者さんの一括同意から外され、個別に同意を取る仕組みを構築後に共有が開始されます。
厚生労働省の資料によると、2022年12月17日より、三師届・業務従事者届出がオンラインでできるようになりました。
従来は2年に1度、紙の届出をしなければならず大変でしたが、ついにネット上で完結できるように…!
そして、徐々にオンライン届けの比率が高まれば、データの分析を迅速に行え、今後の医師偏在解消を打開策がみつかると期待されています。
さらに2024年には、マイナポータルから、免許申請、資格情報の閲覧・共有・届出ができるようになります。
このように、医師・歯科医師・薬剤師の資格管理にマイナンバー制度を活用することによって、免許申請のオンライン化・簡素化、資格データの適正化、資格情報の閲覧が可能になります。
2023年1月から、オンライン資格確認をベースに、これまで紙運用だった処方箋がオンライン化します。
この電子処方箋によって、紙の受け渡しやFaxでのやり取りが不要になり、薬剤共有情報のリアルタイム化が実現します。
重複投与や併用禁忌の回避ができるほか、直近のデータを含む過去3年分のお薬のデータが参照できるようになります。
このように、電子処方箋の導入により、オンライン資格確認の仕組みを基盤として、処方箋のデータを医療機関・薬局、患者間で連携できるようになります。
今回はオンライン資格の概要やメリット、現状の課題や今後について解説しました。
ポイントをまとめますと、次の通りです。
- オンライン資格確認により、患者さんの医療保険の資格や医療情報を、リアルタイムで活用できるように
- オンライン資格確認の課題は、マイナンバー・カードリーダーの普及、訪問診療への導入など
- 今後、オンライン資格確認はデータヘルスの基盤として、連携できる医療情報や医療サービスが拡充されていく
以上となります。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました!