こんにちは、チョトラです!
「業務の属人化を解消したい…」
「前任者が退職してしまい、その人の業務を引き継げる人がいない…」
と悩んでませんか?
そこで今回は、「属人化の原因やデメリット」「属人化を標準化に変える解消法」について詳しく解説します。
この記事は以下のような人におすすめ!
- 業務の属人化を解消したい人
- 優秀な人が退職するたびに、引き継ぎなどの問題が起きる組織にいる人
- 業務の質にばらつきがあり、組織としての仕組みに課題を感じている人
属人化には短期的なメリットもあるため、標準化への取り組みは後回しにされがちです。
しかし、長期的に見るとデメリットは大きく、経営上のリスクになりえます。
この記事を読んで、属人化のメリット・デメリットを正しく理解し、業務をあらためて見直すきっかけになれば幸いです。
それでは、どうぞ!
業務の属人化とは、特定の社員が担当している業務の内容や進め方が、その人以外ではわからなくなってしまう状態を指します。
仕事の詳しい手順やノウハウは共有されておらず、その人は一人で仕事を進めているような状態です。
一見すると、業務はうまく進んでいるように見えるかもしれません。
しかし、仕事でイレギュラーなことが発生したり、突然その社員が休んだり辞めたりすると、他の社員では対応ができず、大きな問題となります。
もし、職場で以下の会話がなされたら、それは属人化のサインかもしれないよ!
・〇〇さんに確認してもらわないと、この作業は進まないな。
・〇〇さんは今週いっぱい夏休みだから、来週の月曜日に確認しよう。
・この仕事はとても複雑で、実はこうなっているらしいんだ。詳しくは〇〇さんに聞いてみて。
なぜ、業務の属人化は発生してしまうのでしょうか?
ここからは、属人化の原因を解説します。
マニュアルがなかったり、あっても活用されなかったり、情報が古かったり…
これらマニュアルの未整備は、属人化の原因となります。
なぜなら、ルールやノウハウが共有されていないと、業務の進め方が定まらないからです。
皆さんの職場でも、口頭で業務を引き継いでいたり、各人が自己流で業務を進めていたりしませんか?
このようなスタイルが根付いてしまうと、限られた人だけにしか業務を進められない事態となってしまうのです。
業務の専門性が高いことで、属人化が発生する場合があります。
マニュアルだけで完結しない専門的な知識やスキルが求められる職種は、「誰にでもできる仕事」ではありません。
また、マニュアルだけで完結しない「高度な技術や判断」が求められる専門職は、常に人手不足です。
このように、専門性の高さは、属人化を加速させる要因となります。
ネガティブなイメージの強い属人化ですが、社員が属人化の状態を自ら受け入れている場合もあります。
属人化した業務は、「その人がいなければ仕事が回らない」ということです。
社員の立場からすれば、「自分の代わりがいない」ということは、必要とされているという実感につながります。
また、社内で自分の立場を保証してもらえる強みであるともいえるでしょう。
そういった背景から、属人化自体を本人が望んで受け入れてしまうといったケースもあるのです。
多忙で業務に追われている職場では、目の前の業務をこなすのに手いっぱいで、属人化に対処するための時間的余裕がありません。
そのため、マニュアルを作成したり情報を共有したりといった業務にまで手が回らないことがあります。
また、専門知識が必要な業務の場合は、マニュアル化が難しいことも課題です。
マニュアル化が難しく、業務に追われているとなると、属人化解消に向けて動き出すことはさらに困難となります。
属人化解消に向けた業務が評価されにくいことも、原因のひとつです。
属人化を解消するためには、マニュアルを作成したり情報共有の仕組みを作ったりと、社内で標準化できるように対処することになります。
しかし、このような属人化解消に向けた取り組みは、企業の短期的な利益には結びつかない傾向にあります。
評価されない以上、社員が属人化解消への取り組みに積極的になる理由がないのです。
ネガティブなイメージの強い属人化ですが、メリットはあるのでしょうか?
ここからは、属人化のメリットを解説します。
顧客と信頼関係が築けることは、属人化のメリットといえます。
業務に関する専門性が高いことで、「この人に任せれば大丈夫」という安心感を顧客に与えます。
営業職などの人と人との関係性が重要となる業務においては、信頼関係が築ける点はメリットといえるでしょう。
属人化によって、本人の専門性やスキルを高められることにもつながります。
業務が特定の個人に集中することで、その人物のスキルアップに直結するためです。
ただし、結果的に社員のスキルに偏りが生じることになってしまいます。
個人の専門性やスキルを伸ばせるという点で見れば、属人化のメリットといえそうです。
特定の社員に裁量権があることも、属人化のメリットといえるかもしれません。
業務をある程度コントロールできる裁量権を持つことで、社員の心理的なストレス軽減につながりやすいためです。
自分のペースで仕事を進められるため、スケジュールの調整がしやすいといったメリットもあるでしょう。
属人化は、社員にとって仕事を進めやすいというプラスの作用も持っているのです。
ネガティブなイメージのある属人化ですが、メリットもあることがわかりました。
それでは、属人化にはどのようなデメリットがあるのでしょうか?
ここからは、属人化のデメリットについて解説します。
属人化が引き起こすデメリットとして、もっとも顕著なのが「ほかの社員が業務を遂行できない」といった点です。
属人化は「特定の人物が業務を独占している状態」とも言い換えることができます。
業務の仕方や進捗状況などがブラックボックス化しているため、本人の不在時にほかの誰も対応することができません。
つまり、属人化した社員がいなければ、業務がストップしてしまうのです。
このように、ほかの社員が業務を遂行できないことは属人化のデメリットであるといえます。
「個人にかかる負担が増える」のも、属人化のデメリットです。
負担が過重にかかりすぎることで、属人化した社員に心身の不調を引き起こす可能性があります。
特定の人物に業務が集中し、業務の負担割合に偏りが生じるためです。
ほかの社員がサポートをしようにも、業務の進め方や状況について把握ができていない状態では、協力体制を築きづらくなります。
仕事が分散できない状況になると、さらに属人化が加速することも考えられるでしょう。
属人化で懸念すべき点は「サービス品質を一定に保てない」ことです。
社内で属人化が起こっているということは、社員の水準にばらつきがあるということになります。
つまり、誰が業務を行なうかによって品質が不安定になってしまうのです。
属人化が発生している職場では、マニュアルが備わっていないことも多く、品質を安定させることが難しくなります。
「業務状況が把握しづらい」ことも、属人化のデメリットです。
社内で属人化した人間だけが業務状況について把握している状況なので、業務の透明化とは正反対です。
むしろ、業務が「ブラックボックス化」しているといえるでしょう。
上司や同僚が業務状況について把握できていない状況では、ミスの発覚が遅れたり、隠蔽されたりするリスクもあります。
そして、業務状況がわからない状態では、上司や管理者が適正な評価をくだすことができません。
したがって、業務状況が把握しづらいことはデメリットであるといえます。
属人化した社員が退職した場合、「会社にとって貴重なノウハウが失われる」といったデメリットも発生します。
退職時の引継ぎ期間は1ヶ月から3ヶ月が一般的ですが、急な退職となる場合も考えられます。
引継ぎ期間が短いと、業務内容やノウハウを伝えきれない可能性もゼロではありません。
業務を担当する社員がいなくなると、貴重なノウハウが継承されず、そのまま企業から消失する可能性もあるのです。
貴重なノウハウの消失が生じるといった観点からも、属人化した社員を抱えることは経営的にリスクといえるでしょう。
ここまで、属人化のメリットとデメリットをご紹介しました。
総合的に見ると、属人化はデメリットが大きいといえます。
属人化の解消(業務の標準化)は骨が折れますが、もし解消できれば、業務効率の改善や品質の安定などのメリットを享受できます。
ここからは、具体的に「属人化を解消する方法」についてご紹介します。
まず、業務の流れを社内ルールを棚卸しすることからはじめましょう。
どのような業務を、いつ、誰が、どんな手順で行なっているのかを、社員へヒアリングを行って明確にします。
こうすることで、実は二度手間になっていた、省略できる部分が多々あったなど、具体的な改善ポイントが見つかりやすくなります。
また、可視化には、フローチャートの作成や、ITツールの導入も効果的です。
これまで慣習的に行っていた業務を徹底的に見直し、省略できる部分を見つけましょう。
業務の内容や流れの棚卸しが終わったあとは、それらの最適化を考えてみましょう。
属人化が起きている複雑な工程に対して、「その人にしかできない業務」と「ほかの誰でも行える業務」の2つに分解します。
そこから、ほかの社員でもできる業務をできる限り引き剥がすことで、属人化解消に向けて一歩前進することができます。
業務フローにおいては、省略できる部分を徹底的に見直して、最大限の効率化を測っていきましょう。
標準化する業務に「優先順位」をつけることも重要です。
なぜなら、通常業務と並行して標準化を一気に完成させることは、困難だからです。
特に、標準化の難易度が高い業務に関しては、時間が必要となるでしょう。
まずは、「影響が大きいコア業務」や「ボトルネックとなっている業務」「今やらないと後からもっと大変になってしまう業務」など、優先度や緊急度が高い取り組みへの標準化を考えましょう。
属人化解消に有効な施策として、「マニュアル」策定があります。
マニュアルがあれば業務の進め方が分かりやすくなり、社員が誰でも簡単に業務を行えるようになります。
また、ベテラン社員から若手社員まで同じレベルの仕事ができるようになったり、新人への教育コストが下がったりなど、さまざまな効果が期待できます。
このように、マニュアルの策定は「一人だけが違う方針で動く」といったことが難しくなるため、業務の標準化に非常に効果的です。
業務の流れを可視化し、最適化に向けた施策の優先順位をつけ、マニュアルを作成すれば後は終わり・・・ではありません。
なぜなら、せっかく作ったマニュアルも、使われなければ意味がないですし、使っていくうちに課題が見つかることがほとんどだからです。
マニュアルを作った後も現場の声に耳を傾け、定期的に議論を重ねて内容をアップデートしていきましょう。
標準化に向けた施策の効果を検証し、フィードバック・改善を繰り返していくことが重要です。
PDCAを意識すれば、属人化を継続的に解消でき、真の意味での現場の標準化を達成できるでしょう。
今回は、「業務の属人化」のメリット・デメリット・解消方法などを解説しました。
ポイントをまとめますと、次の通りです。
- 属人化が発生すると、ほかの社員が業務を遂行できなくなり、さまざまな問題が生じる
- 「信頼関係を築ける」「専門性を高められる」「業務に裁量権がある」というメリットもあるが、むしろデメリットの方が多い
- 属人化の解消・予防には「業務の可視化」「マニュアルの策定」「業務の単純化」「PDCAで改善」が有効
業務の属人化は、わたしたち医療者にとって、とても身近な話ではないでしょうか?
これは、コンサルタントに寄せられた実際の話になります。
関西のとある病院(病床数300)の経理作業を、20年前からAさんが1人で回しておりました。
複雑な給与計算や紙、Excelベースでのやり取り、独自のルールなど。
1人で行なっていたため、マニュアルはなく、院内に手伝う人もおらず、Aさんの作業全体を把握できる人はおりませんでした。
しかし、その人が癌になって職場を離れ病院の経理作業がストップし、コンサルタントへ急遽相談が…
相談を受けたコンサルタントは、まず、その人の業務全体を棚卸しすることから始めました。
すると、全体としては複雑に見えても、分解すると一つ一つの誰でもできる複数の作業に分解できたそうです。
その後、業務の流れを可視化し、単純化し、マニュアルを作成することに。
最終的に、紙ベースではなくITツールを導入して、標準化と省力化に成功しました。
組織が優秀な人に依存することは、短期的に見ると業務が回って楽ですが、実は大きなリスクを抱えていることになります。
業務の標準化は、目の前の仕事に追われなかなか取り組めないことも多いですが、この問題を解決することで組織が一回り強くなります。
この記事が、皆様の職場の属人化を解消するきっかけとなれば幸いです。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました!